こんにちは。鉄人blogに訪れていただきありがとうございます。あけましておめでとうございます。今年も皆様にとって(もちろん自身にとっても)いい年になりますよう願っております。今年もどうぞよろしくお願いします。昨日(12月31日)大みそか恒例の明石午線杯に出場してきました。

この大会は、JOPランキング保有者や学生を中心としたメンバーがエントリーしており、予選が30日に本戦が31日に行われる大会です。本戦は本戦シード選手が8名と予選上がりの選手8名の計16名で構成されており、8ゲームプロセットで行われます。本戦で1回勝つと来年の大会で本戦シードがもらえ、それ以外の選手は基本的に予選からの出場となります。

私が初めて出場したのが5年前でその時は予選の決勝で負けましたが、その後、ベスト8、準優勝、ベスト4、ベスト4と4年前から本戦シードを死守しており、今年も2回勝ってベスト4の成績でした。今年は例年以上に成果を実感できた大会であったと感じています。今回は、そのことについてお話していきたいと思います。

1 本大会の自分なりの位置づけ

先にもお話しした通り、本大会は主に学生を中心とした一般大会であり、今回の本戦出場選手を見ても私を含めた数人を除いてほとんどの選手は大学生や20代の一般大会で活躍する選手です。昨年の11月に46歳になった私は当然最年長選手で、対戦相手のほとんどが一回り以上、時には二回り以上年下の選手と試合をすることもあります。

ベテラン大会では、現在日本ランキング1位である私は他の選手からの挑戦を受けるという立場で試合をすることになりますが、このような一般大会では、ベテラン大会にはない本当の意味でのチャレンジャーとして臨むことができます。そういう意味では、自分の全てを若い選手にぶつけることができる本当に楽しみな大会であります。

ただ、年々体力的に衰えていき、真っ向勝負が難しくなる中で、どのような戦い方をしていくのか、勝っても負けても納得感を得ることができるのか、そしていつまでこの若い選手と同じ土俵で闘い続けるのかということを大きなテーマとして毎年本大会を迎えています。

2 大会を振り返る

1回戦 8-1

 実は1回戦の相手は若い選手ではなく、私と同年代で学生時代(25年ほど前)に対戦経験のある相手でした。プレースタイルは、フォアもバックもうまく合わせることができ、ネットプレーも上手なオールラウンドプレーヤーです。ただ、ストロークの力関係では、私に分があると考えていましたので、落ち着いてストローク戦に持ち込めば、負けないとも思っていました。

実際のゲームも序盤こそは、競り合いの場面もありましたが、1-1からの3ゲーム目で相手サーブをブレークしてからは、終始私のペースで試合が進み、中盤から終盤にかけては完全に相手を圧倒して8-1で勝利しました。ゲームの早い段階で自分のタイミングやリズムで試合を進めることができたので、自分でも驚くぐらいのいい内容のゲームができました。

準々決勝 8-5

 次の相手は現役の関西学生の選手で昨年の本大会も出場していて、準々決勝まで勝ち上がっていました。しかもその試合では私が準決勝で1-8で完敗した相手に7-9とかなり競った試合をしており、実力者であることは間違いありません。しかも現在、彼は3回生で一番脂がのり切ったいい時期で、現在のお互いの状況を見れば、分が悪いのは当然のことでした。

試合は開始直後からうまくペースがつかめずツーブレイクダウンの0-3になりました。ペースがつかめなかった理由の一つに1回戦のアウトドアコートから、インドアコートに変わったことがありました。インドアコートは、風や太陽に影響されないといういい面もありますが、絶対的な明るさがアウトドアに比べ足りず、ボールの距離感をつかむのに時間がかかります。

ボールを最後まで引き付け、力を加えて打つことを普段から意識している私にとって、このインドアコートのボールの見えにくさは、かなりプレーを難しくしていました。アウトドアなら難なくコントロールできているボールも、少しの打点のずれによってミスを連発していました。

もちろん相手選手も同じ条件なのですが、相手選手は1回戦で同じコートで試合をしており、既に順応しているようでした。ただ、0-3とはなりましたが、まだまだチャンスがあると考えていました。その理由は

①徐々にインドアコートの暗さにも慣れてきて、うまく打点を合わせられるようになってきていたこと

②相手選手のサーブがそれほど強くなく、サーブだけでポイントを失うことがほとんどなかったこと

③相手選手の各ストロークのスピードや質が十分対応可能な範囲であったこと

などのからでした。案の定第4ゲームで相手サーブをブレークすると第5ゲームをキープし、第6ゲームもブレークし、3-3のイーブンとしました。この3ゲームで意識したことは、相手のストロークのリズムに合わせ、長いラリーをするのではなく、先に攻撃を仕掛けラリーの主導権を握ること、そしてできるだけ多くネットプレーにトライすることでした。

自分のサービスゲームではサーブ&ボレーや3本目攻撃などで積極的にネットにつき、相手のサービスゲームでは、リターンから攻撃を仕掛け、ストローク主導権を握り、ポイントを重ねていくことができました。

このままのペースでその後も進めていければよかったのですが、第7ゲームの自身のサービスゲームで、ペースダウンをしてベースラインからのプレーが増えたことで再び流れが相手選手にわたり、第7ゲームをブレーク、第8ゲームもキープされて3-5となりました。

第7ゲームの自身のサービスゲームでの心境は「ペースを取り戻したから、また自分の安全地帯であるベースライン付近でプレーしてポイントを取っていこう」でした。この安全志向のメンタルがせっかくできた自分への流れやプレーの勢いを止めてしまいました。

これまでの自分であれば、ここからも自分の一番得意なベースラインでのプレーを選択し、何とか流れを取り戻そうとしたと思います。それが結果的にどうなったのかは分かりませんが、おそらく相手のペースのままでゲームが進んでいた可能性が高いと思います。しかし、今回は違いました。

私が考えたことは「ファーストサーブが入ったら全部サーブ&ボレーにいこう」でした。ベースラインプレーヤーにとって自分の安全地帯であるベースラインから離れて相手コートに近いネット付近でプレーすることは非常に勇気のいることです。これまでの試合でサーブ&ボレーをすることは、よほどの余裕がある時に通常は1ゲームに1回、どれだけ多くても2回まででした。

しかし、今回はファーストサーブが入った場合はすべてネットにつきました。多い時は1ゲームに5回6回、アプローチ&ネットを加えると取っても取られてもポイントのほとんどをネットで終えました。ここまでネットプレーに拘った理由は直感的に攻撃的なプレーを継続しない限り、若くて体力的に充実している選手に粘って勝てる可能性は低いと考えたからでした。

この作戦が見事に嵌り、再び流れを取り戻し、第9ゲームをキープすると第10ゲームもブレークそして第11ゲームもキープし、6-5となりこの試合で始めてリードを奪いました。自身のサービスゲームに勢いがつくとそれがリターンゲームにも活きて、より攻撃的なプレーが展開でき、相手を圧倒していきました。

それともう一つよかったことが「ドロップショット」でした。ここまで攻撃的にプレーしていくと相手選手の重心がベースライン後方に下がっていきます。相手選手にとってネットプレーに来るから後ろに下がってパスの準備をしないといけないと思った瞬間にドロップショットを打たれると、前への反応が遅れます。足の速い学生選手にもこれは有効で何本もドロップショットからポイントを重ねました。

第12ゲームもブレークし、サービングフォーザマッチとなった第13ゲームも相手選手の粘りでブレークポイントを握られるもセーブし、最後もサーブ&ボレー(結果的には相手のリターンミス)を試み8-5で勝利することができました。

試合終了後の相手選手の呆然とした表情が印象的でした。おそらく彼にとって序盤の圧倒的有利な状況からまさか逆転負けをするなんてこれっぽっちも想像もしていなかったのだと思います。ただ、私自身も非常に不思議な感覚に陥っていました。

普通なら「やった!現役の大学生に勝った!」と喜びの感情がこみ上げてくるものですが、今回は喜びよりも驚きの感情の方が勝っていました。これまでは勝っても負けても常にベースラインのプレーに拘っていた自分がここまでネットプレーにトライし、勝利という結果を手繰り寄せられたことに驚きを隠せませんでした。

「自分ってこんなにネットプレーできたんや。」46歳という通常では、体力も技術も衰えていく年齢であっても新たなプレーにチャレンジし、自分の可能性を感じられて少し感慨深かったです。

準決勝 2-8

準々決勝の振り返りがかなり長かったので、ここの振り返りはさらっといきます(笑)一言で言うと「完敗(フルボッコ!)」でした。完全に住む世界(目指す目標)の違う相手であったという印象でした。

対戦相手の選手とは今大会では3度目の対戦でしたが今回ほど負けて清々しい気持ちになれたのは初めてでした。それは裏を返すと自分の全ては出し切ったが、全く歯が立たず気持ちよく負けたということになります。

私は常日頃考えていることがあって、それはどれだけいい負け方ができるかということです。個人スポーツにおいては悲しいかな上には上が必ずいます。私はベテランの世界では現状日本ランキング1位ですし、トップオブトップの位置にいますが、一般の世界では、私より強い選手は山ほど存在します。この舞台でも勝負している私にとって負けることは日常的であり、その負けによって自分自身をどう成長させるかということが非常に重要なことになってきます。

通常の試合では失点ポイントの8割以上が自身のミスと言われる中でこの試合に限っては、6割以上は相手選手のエースもしくはウイナーでした。あるゲームではすべてのポイントが相手選手のエースもしくはウイナーでした。

もちろん私も勝つために全力を尽くしましたが、はっきり言ってお手上げでした。このような全くのノーチャンスの試合でしたので、試合を振り返っても一切の後悔もなく、負けても清々しい気持ちになれました。そういう意味でも、この完敗であった試合も私にとってとても有意義なものになりました。

3 今大会で学んだこと

・相手と自分のストロークの力関係で、勝っていると感じたらベースラインでのプレーをメインで考える。

・序盤は目の前のポイントを取りにいくよりも自分のリズムやペースをつかむためのものであると心得え、ある程度の失点は許容する。(ただし、アンフォーストエラーや意味のないプレーは行わない。

・相手の流れになってきた場合は、ドロップショットやサーブ&ボレーで相手のリズムを崩す。

攻撃は最大の防御なり!(弱気になりそうな時に自分に言い聞かせる)

・1本1本悔いのないショット選択をする。

4 今後の本大会の出場について

 最初にも少し触れたように、本大会に出場するにあたっての大きなテーマである「いつまでこの若い選手と同じ土俵で闘い続けるのか」ということについては毎年出場するたびに考えています。私が初めて出場した5年前は、私と同年代のベテラン選手もそれなりに出場していましたが、現在では、私を含め数名ほどになっています。

確かに本戦選手のほとんどが大学生や20代の選手が中心で、彼らのパワフルなテニスを打ち負かすのはベテラン選手にとっては至難の業であるので、年々出場者が少なくなってくることは当然のことであります。

私の中でも今大会を出場し続けるにあたっての基準があり、一つは本戦シードを守れるか(本戦で1回勝つこと)ということ、もう一つの基準が予選トーナメントを勝ち上がれるかということ、これができなくなった時が引き際のタイミングかなと考えています。

それと、心身のコンディションがいいこと、特にメンタルの状態が若い選手と闘える状態にあるかということも出場するための大きな要素になります。現在は心身の状態が非常に充実しており、また今年もベスト4であったことから本戦出場の権利は得ているので、今年の本大会も出場の予定ですが、出場するために今年1年もしっかりとトレーニングをしていかないといけないなと思っています。2024年の大晦日に開催予定の子午線杯で若い選手たちと真っ向勝負することを目標に1日1日の取り組みを大切に今年も頑張っていきます!

最後までご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

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