こんにちは。鉄人blogに訪れていただきありがとうございます。早いもので今年も残り1週間を切りました。

12月に入ってからも通常の練習に加え、団体戦に出場したり、今回お話しするミックスダブルスの大会に出場したりするなど、精力的に動いてきました。そして、今年の大会は例年出場している大晦日の子午線杯(シングルス)を残すのみにとなりました。

今回は、12月20日(金)~21日(土)の日程で行われたマルトモ杯タイゾー毎日テニスオープン(以下タイゾー杯)のレビューをお伝えします。

〇タイゾー杯に出場を決めた経緯

私は言わずと知れたシングルスプレーヤーで、ベテラン大会において、ミックスダブルスはもちろんのこと、男子ダブルスすらも出場したことがありません。

また、今大会はJOP対象外大会となっており、JOPポイントが付与されることもありません。それではなぜ今大会に出場したいと思ったのかをお話しします。

・大会にテニスを通じた地方創生や生涯スポーツの発展を目指すというコンセプトがあったため

・大学卒業後3年間過ごした第2の故郷愛媛県での開催であったため

・ミックスダブルスかつペアの合計年齢が80歳というこれまでにないジャンルであったため

仕事の調整がつきやすい開催日程であったため

当初、この大会の要項を見た時に面白そうだなとは思いましたが、ほぼシングルスしかしてこなかった自分には関係のない大会だと静観していましたが、〆切の1週間ほど前になってきて、上記の理由から急に「やっぱり出たい!」という思いが強くなり、ペアを探すことになりました。

〇ダブルスのペアについて

〆切まであと1週間ほどに迫った中、早急に組んでいただける方を探すことになりました。先述の通り、ダブルスをほとんどしてこなかった私にとって、ペア探し、特に女性となるとかなりハードルが高かったです。

しかも、年齢さえクリアしていれば誰でもいいというわけではもちろんなく、私の思いを伝えた上で、それを理解し、そしてスケジュール的に可能な方ということで、数少ない知り合いにお誘いすることになりました。

私の思いとは、本大会のコンセプトを理解していただけること現在も現役でプレーしていること優勝を目指したいこと組んでいてお互い気を遣いすぎないことなどでした。

こんな〆切直前での無理なお願いでしたが、受けていただけるペアが見つかり、大会〆切前日に無事エントリーできたのでした。

〇大会に向けて

12月に入ってから本格的にダブルスの準備を始めました。シングルスメインにしてきた私

にとってダブルスの試合に向けて心技体を合わせていくのは容易ではありませんでした。

特に今回のペアは、昔からの顔なじみではあったものの、初めてペアを組むため、早急にお互いの技術の特徴を知り、ペアでのポイントパターンを共有し確立していく必要がありました。そのために行ったことが以下の通りです。

・ペアとコミュニケーションをとる

→どんなプレースタイルなのか、どちらのサイドが得意か、何ができて、何ができないのか、ペアにどんなプレーを期待しているのか、などをお互いに情報共有しておく

・パターン練習をできる限り多くこなす

→即席ペアなので、阿吽の呼吸でプレーすることが難しく試合の中でポイントパターンを予め確立しておく必要があった

・練習中や試合の中での成果と課題を都度ペアと情報共有し、修正、改善する

→ダブルスでは「試合の流れ」がシングルスよりも急激なので、都度、状況把握に努め、同じ形に拘らないようにすることが大切である

〇ダブルスとしての力量について

大会まで実際にダブルスの練習をできたのは1回だけでしたが、そこで感じた印象は、「トーナメントを勝ち上がるために必要なダブルスのスキルが足りない。」ということでした。理由は

①私のリターンやラリーのリズムが完全にシングルスのもので、ダブルスの早い展開についていけていない

②ペアのストロークやサーブに絶対的なショットスピードがなく、打ち込まれることが多い

③お互い前衛での決定力に欠いている

などでした。

私自身、20代の現役の頃は、シングルスよりもむしろダブルスの方が得意で成績もよかったので、ここまでダブルスができなくなっているのことに衝撃を受けました。

ただ、「自分たちはできるんだ」と過大評価して試合に臨むよりも「自分たちには力がない」と現状を正しく認識してその中でどのように試合に臨んでいくかを考えた方が、よい結果につながると考えました。

〇トーナメント(ドロー)について

前世代の部(ペアの合計年齢が80歳以上)は参加の16ペアがそれぞれ4つのリーグに分かれ、総当たりのリーグ戦を行い、1位が決勝トーナメントに進むという方式でした。

他のペアを見ると大会アンバサダーの杉村太蔵さんペアや元実業団ペア、テニスコーチのペア、地元のトップレベルのペアなど強豪ばかりでした。

その中で、私たちは運よくリーグの1シードをもらうことができましたが、慢心などは微塵もなく、リーグ突破を第1目標として捉え、そこを突破できればあとはボーナスステージだとさえ考えていました。

〇勝ち上がるための戦術について

先述の通り、私たちのペアはダブルスにおいてのスキルや経験不足からオーソドックスなダブルスでは、絶対勝てないと考えていました。そのためペアとの話し合いの結果、勝ち上がるために次の戦術を持って試合に臨むことになりました。

私のサービスゲームのキープは絶対に必要(ブレークされた時点で非常に厳しい)であるため、いつも以上に力強いサーブを打っていく

・コートの7割は私がカバーする

・ペアは手の届く範囲(特にネット前)のボールをしっかり返球する

・ファーストリターンができるだけ前衛にかからないよう工夫する

私がベースライン、ペアがネットという形をできるだけ多くとる

特にこの中でも最後の「私がベースライン、ペアがネットという形をできるだけ多くとる」ということを最も大切にした戦術でした。

私は自分のダブルススキルが足りないことを自覚していたので、無理にそれを追いかけようとせず、自分の得意な土俵(シングルス)で勝負することを選びました。

自分のサービスゲームはファーストサーブでもベースラインにとどまり、ペアのリターンの時にも前衛ポジションではなく、後ろで構えました。そして、最終的にはペアのサービスゲームにおいてもベースラインに留まり、「私がベースライン、ペアがネット」という形を取り続けました。

もちろんこの戦術はペアとも十分に話し合い、お互い納得済みで勝つためのベストな選択であると共通認識し、この「非常識なダブルス戦法」で大会に臨んでいきました。

〇予選リーグ

1R 8-1

2R 8-6

3R 8-1

1R、3Rは8-1で簡単に勝ったように見えますが、1Rは相手の女性ペアがかなり緊張していたことや前半のノーアドバンテージポイントをうまく取れたことで、流れに乗れたことにありました。3Rのペアも私たちが大接戦を演じた2R目のペアとタイブレークでマッチポイント取るとことまでいっており、通常であればもっと競っていた可能性がありました。

2R目のペアは同じテニスクラブのテニスコーチペアで、男性は技巧派で女性は力強く、非常に息の合った手強いペアでした。特に女性はまだ30歳前後の若い選手で、学生の頃は全国大会にも出場するなど、経験や実力も十分な選手で、私のストロークを持っても中々押し込めないほどでした。

私のサーブはキープしていましたが、ペアのサーブがキープできず、相手の男性のサービスゲームをなんとかブレークし、6-6までいきました。6-6の私のサービスゲーム、次の相手男性のサービスゲームもともにノーアドバンテージポイントとなりましたが、何とか取り切って勝利できました。

どちらが勝っても全くおかしくないゲーム展開でしたが、最後2ゲームのノーアドバンテージポイントはともに私のストロークエースで決めきり、ある意味「自分の力で取りに行った」ポイントでした。

これは「自分の得意な土俵(シングルス)で勝負する」という戦術を徹底したことで、打ち切れたショットでもありました。「ダブルスはペアと協力して取りにいくもの」とよく言われますが、時には「自分でポイントを取りにいく」というエゴも必要であると感じた瞬間でもありました。

〇決勝トーナメント

予選リーグを無事に突破して、決勝トーナメントの対戦相手を決めるくじを引くため本部に向かいました。勝ち上がったペアは、私たちのほか、杉村さんペア、地元の愛媛県ペア、そして元実業団選手ペアでした。

それぞれの力関係を考えた時に勝ち上がるために一番当たりたくない、つまり一番力のあるペアは間違いなく元実業団ペアでした。

私たちはそこを引かないように祈りながら本部に向かいましたが、残されたくじは1枚だけで、本部の方から明日の対戦ペアが元実業団選手ペアだと告げられました。

その瞬間、私たちはお互い顔を見合わせ苦笑い。言葉には出しませんでしたが、お互い内心「終わったな・・。」という感じが見て取れました。

それもそのはず、男性は元全日本選手権ミックスダブルスのファイナリスト、女性は3月まで現役の実業団選手で昨年の全日本室内女子ダブルスのファイナリスト。どこからどう見ても厳しすぎる相手でした。

しかし、私はその絶対的不利な状況であっても僅かながらも可能性を感じていました。それは、男性選手のコンディションが、あまりよさそうに見えなかったということからでした。

男性をうまくこちらの土俵に引きずり込んで、ミスをさせられれば、女性も焦ってくるはず・・。基本戦術をもう一度ペアと確認し、より徹底して遂行することをペアと確認しました。

私のサービスゲームから始まった第1ゲームでいきなりノーアドバンテージポイントとなりましたが、いいサービスが入って何とかキープし、1-0、次の男性選手のサーブを40-15のゲームポイントから3ポイント連取し、ブレーク。

そして今大会では一番取ることが難しかったペアのサービスゲームも奇跡的に?!キープし、3-0となりました。この序盤の3ゲームは、後から振り返ってもお互いにとって非常に重要なゲームで勝敗に影響を与えました。

実はこの第3ゲームでは、ペアのサービスゲームにおいて、ファーストサーブであっても、私がステイバックし、相手の返球(主にペア)に対してロブで頭を越して、ペアにネットにつかせるという奇襲攻撃を仕掛けうまくそれが嵌ったのでした。

こちらがサーブをキープした時に相手男性からの「めっちゃ嵌められてる!」という叫びが、この奇襲戦術の効果を表しているものだと思いました。

第4ゲーム相手の女性のサービスゲームを簡単にキープされると、ゲームの流れが変わっていくのを感じました。そのため、何としても次の第5ゲームの私のサービスゲームをキープする必要がありました。

ゲームの流れは悪かったですが、男性選手のリターンが乱れ、ここもノーアドバンテージポイントとなりましたが、キープし、4-1となりました。この流れでどんどん行きたかったですが、第6ゲームの相手サーブ、第7ゲームのペアのサービスゲームともにノーアドバンテージで落とし、第8ゲームもキープされ4-4となりました。

第9ゲームの私のサービスゲームを万が一ブレークされるとほぼゲームセットであったと思いますが、ラブゲームでキープ、そしてチャンスが多かった相手の男性のサービスゲームをブレークし、6-4とまたリードしました。

しかし、地力がある相手で、簡単には勝たせてくれず第11ゲームをブレーク、第12ゲームをキープされ6-6となりました。しかし、この日調子が良かったサーブがこのゲームもしっかり入り、キープすると、第14ゲームの相手男性のサーブを再びブレークし、勝利を掴みました。

最後は、一進一退の展開となりましたが、勝つための戦術を最後まで貫徹し、数少ないチャンスをものにし、番狂わせを起こしました。

これは、弱者(私たち)が強者(相手ペア)に対して、自分の得意な土俵に引きずり込み、強者の実力を発揮させずに勝利を収めた、正に弱者の戦法そのものでした。

この勝利は、ミックスダブルスの面白さ、奥深さ、可能性を感じさせてくれました。

準決勝の1時間半後に行われた決勝戦の相手は、準決勝で杉村さんペアにタイブレークで勝った愛媛県出身の地元のペアでした。

男性は地元大会で数多く優勝し、女性もJOP大会で常に上位進出している力のあるペアでした。正直、力的には準決勝で対戦したペアの方が上でしたので、自信を持って試合に臨みましたが、結果は6-7,6-2,10-12で負けて準優勝でした。

この試合も当初の戦術を徹底し、全体的にはうまくいっていましたが、前での決定力の差が出て、残念ながら勝ち切れず準優勝で大会に幕を閉じました。

しかし、即席で、しかもダブルスとしての力が十分ではなかったペアが、ここまでこれたことに、自信と喜びを感じました。最後にまとめとして今大会の気づきを記して終えたい思います。

〇今大会の気づき

ペア間のコミュニケーションが大切。遠慮なく、自分の得意なこと、苦手なこと、つたえていくこと

・自分の持ち場を守ることと、相手任せになることは全く意味が違う。お互いの割り切りがあれば、やることがはっきりして、課題も明確になる

・ポイントポイントごとに、戦術の確認、ペアにしてほしいことをきちんと伝える

・常識にとらわれずに、非常識な(もちろんルール違反やマナー違反はダメ)戦法であても、勝つために時には躊躇なく行う

・シングルスは常に一人だが、ダブルスはペアがいるので、苦しい状況もともに楽しんでプレーすることで状況を打開できることがある

最後までご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

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