こんにちは。鉄人blogに訪れていただきありがとうございます。いよいよこの大会レビュー編も最終回を迎えました。この大会が終了してから10日ほど経ちましたが、未だに優勝したことが信じられない気持ちとやり切ったという充実感が続いています。それほど、自分のテニス人生、いや人生そのものにおいても大きな出来事だったと思います。自分が一生懸命取り組んできたことを形に残したい、もっと言うと、自分の生きた証を残したい、そんな気持ちで走り続けてきましたので、「大会史上最年長優勝」という歴史を残せたこと本当によかったと思います。さて、今回は大会レビュー編最終回として決勝戦のレビューをお話ししていきます。
決勝:6-3
対戦相手:秋山 陽 (千葉)
事前情報:県内大会優勝、本大会過去優勝者
プレースタイル:
・オールラウンド型ストロークプレーヤー
・大きな弱点がなく、満遍なくすべてのショットが打てる
・ミスの少ない丁寧なストロークを打ってくる
・力強いサービスを持っている
・ネットプレーも器用にこなす
戦 術:
①相手のサービスがよく簡単にブレークできないので、サービスキープを大切にする
②ファーストサービスを確率よく入れてストローク戦で勝負する
③相手のバックハンドのスライスを引っかけないように重心を低くして深いボールを打つ
④チャンスがあればバックハンドにアプローチをしてネットに出る
⑤リターンから攻撃していく意識を持つ
⑥勝つことに執着し過ぎず、試合そのものを楽しむ
戦 況:
大逆転勝利で決勝へ進んだが、準決勝の試合時間は1時間優に超えて、体力的には厳しくなっていた。それに加え、コート時間の関係でレストも僅か15分程度で決勝戦を闘わなくてはいけなかった。決勝戦のコートが本部から下へ降りていかなければいけない場所にあったが、移動中に両足が軽く痙攣を起こしていた。対戦相手も5試合目だったが、1回戦からすべて6-1と完勝しており、体力的には十分な状態に見えた。決勝戦で途中リタイヤはだけはしたくない、最後まで何とか試合をしたいと祈るような心境で決勝戦のコートに立った。
試合は相手がレシーブを選んでサービスからのスタートとなった。準決勝と同じく「ナイトマッチ」となったが、準決勝と比べ見えにくさにも慣れ、ファーストゲームからしっかりとゲームに入れた。戦術➀⓶を意識し、ストローク戦でしっかりとポイントを取れてラブゲームでキープ。第2ゲームは相手のサービスもよく入り、相手もラブゲームキープで1-1。第3ゲーム第4ゲームともにお互いブレークポイントがありながらもセーブして2-2。第5ゲーム第6ゲームもお互いキープして3-3となった。
ここまでお互いのサービスがよく3本目の攻撃が有効で、リターンゲームで中々チャンスがなかった。私がフォアハンドバックハンドともにスピンのきいた球でラリーをしていくのに対して相手のフォアはフラット系、バックはスライスと片手のトップスピンで応戦するという展開で、一進一退の攻防が続いた。
第7ゲームもサービスウイナーやネットプレーでのポイントもありキープし4-3となった。コートチェンジの時、第8ゲームがチャンスゲームだと考えていた。ゲーム終盤となり、相手も少し疲れが出てきていることと、相手にとってはキープできないと3-5となり、苦しい展開となるため、力が入る場面であるからだ。それに自分自身も終盤の戦い方には自信を持っていて、ここから一気に突き放して勝つパターンをこれまで幾度となく作ってきたので、リターンからしっかりプレッシャーをかけていこうと考えた。
実際も思うような展開となり、0-40で3本のブレークポイントを迎えた。しかし、相手も意地を見せ2ポイントをとって30-40となり、この試合の行方を左右する大切なポイントとなった。ここで考えたことは、「守りに入ってはいけない。攻撃的にいこう」ということだった。万が一ポイントを取られ、このゲームがブレークできなくても次のゲームにつながるプレーができればまたチャンスは必ず来ると考えた。
相手はいいサーブを入れ、それを何とかリターンをする。相手はフォアに回り込んでバック側にアプローチショットを打ち込んできた。ポイントが欲しい、相手にミスをしてほしいと考えていれば、確実にロブを選択していたと思う。しかし、バック側に来たアプローチショットに対して、躊躇なくバックハンドでダウンザラインにパッシングショットを放った。ボールは相手が伸ばした右手の横を抜けていった。「カモーン!よし!」今大会初めて気合いの雄叫びを上げた。今大会で最高のショット。プレッシャーに打ち勝った1球だった。
5-3のリードで迎えたサービスゲーム。相手の粘りもあったが、40-30となりマッチポイントを迎える。ここで考えたことは「しっかりファーストサーブを入れる」「勝負を焦らずじっくりラリーをする」ということだった。マッチポイントでも長いラリーが続いたが、相手のバックハンドがベースラインを超えて、試合が終了した。6-3で勝利し、大会史上最年長の優勝が決まった。
気 づ き:
①勝ちたいという気持ちが強すぎると筋肉が硬直し、プレーが固くなるが、いい試合をしよう、楽しもうという気持ちで試合ができ、リラックスしてスイングできたためボールもしっかり飛んでくれた
②いいリズムのサービスゲームを行うためには、ファーストサービスの精度が重要。この試合では、高確率(8割以上)でサーブが入っていたので、その後のストローク戦を有利に進められた
③相手のサービスがよくてブレークできない時も、粘り強くリターンを返すことで相手にプレッシャーを与えることができた
④大切なポイントほど、攻撃的なマインドを持ってプレーすることの大切さが分かった
最 後 に:
2日間の予定が1日ですべて試合を行ったこと、普段行わないナイトマッチで試合を行ったこと、1回戦から決勝戦まですべて違うタイプの選手との対戦だったことなど、自分にとっては、これまで経験したことのない困難な状況の中での大会でしたが、結果的に優勝できたことは大きな自信となりました。
10月に行われた全日本ベテランでは、ランキング1位、第1シードでの出場であったことや今年度ベテランJOP大会ですべて優勝していたこと、そして大会前に地元の新聞社から取材を受け、大会の優勝を期待されていたことなどがあって、自分自身の中で久しぶりに「自分のテニスをやりきる」というよりも「優勝しなくてはいけない」という気持ちが強い中で大会に臨んでしまいました。そしてその結果自分のテニスをやりきれないまま負けてしまいました。
相手選手のプレーが素晴らしく、負けたという結果について言い訳をするつもりは毛頭ありませんが、負けたことよりも「自分のテニスができなかった」そして何よりも「自分の弱さに負けてしまった」ことが悔しくて、正直かなり落ち込みました。
帰りに立ち寄った高速道路のサービスエリアで、試合のことがフラッシュバックし、自分の感情を抑えられず涙が止まらなくなりました。いい年した大人がボロボロ泣いているので、通りすがりの人も心配してくれていたようですが、それでも自分ではどうすることもできませんでした。こんな経験は小学校6年生の時に県ジュニア大会の決勝戦で負けて大泣きした時以来でした。
しかし、この経験がまた自分を強くしてくれたような気がしました。「こんな悔しい思いは二度としたくない。」「相手に勝てなくても自分の弱さには絶対負けない」そういう思いで臨み、それが年齢別で行われる全日本ベテランよりもレベルの高い今大会で優勝という最高の結果を生んだのだと思います。ただ、もし今大会で優勝できなかったとしても全日本ベテランの時のような喪失感はなく、きっと内容には満足して大会を後にできたのではないかと思っています。
つまるところ人生はどれだけのたくさんの経験を積み重ねていけるかということが大切だと思っていますので、全日本ベテランの負けも全国スポーツ祭典の優勝も自分の人生において大きな経験と示唆を与えてくれました。この経験を糧に「テニス道」を極めていけるようこれからも頑張っていきたいと思います。
長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。次回以降は「鉄人式若返りメソッド(仮)」についてお話ししていきたいと思います。
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