こんにちは。鉄人blogに訪れていただきありがとうございます。今回は大会レビュー編PART2として準々決勝、準決勝を振り返っていきたいと思います。

準々決勝の相手は、前回お伝えした通り、ベテランJOP大会無敗だったローランド選手に勝った高橋選手でした。

大会の約1カ月前に組み合わせが発表された時、順当に勝ち上がれば準々決勝でローランド選手と対戦することになるなと考えていましたが、同時にローランド選手と高橋選手との試合も個人的に非常に楽しみでした。

理由は高橋選手には他のベテラン選手にはない「ビッグフォアハンド」を持っており、私自身も初対戦(大毎オープンSF)でそのフォアハンドに手を焼いて1セットを落とした経験があったからでした。

トータルの力で言えば、ローランド選手に軍配が上がるとは思いますが、高橋選手のフォアハンドをローランド選手がうまくいなせなかった場合は、高橋選手にも十分チャンスがあると思っていました。

余談ですが、1回戦終了後に高橋選手とお会いした時に、「同僚のテニスコーチからローランドさんに勝って、大﨑さんに負けると予想されているんだよね。」と笑いながら話をされていましたが、その表情からローランド選手との試合に向けて、かなり自信があるようにも見えました。

私の2回戦が2時間越えのロングマッチとなってしまいましたので、二人の試合を実際見ることはできなかったのですが、その試合を見ている仲間から、高橋さんのフォアハンドの威力が最後まで落ちずに、打ち切って勝ったと聞きました。

過去の対戦経験やこれらの情報をもとにしっかりと対策を立てて試合に臨むことになりました。

準々決勝 6-0 6-1 ⾼橋 広⾏(ARROWS.T.S)

プレースタイル(事前情報含む):

・ハードヒッターのストロークプレーヤー

・フォアハンドはベースライン後方からでもエースが取れる

・バックハンドは安定重視でスライスが7割程度

・サーブは威力があり、ダブルフォルトも少ない

・フットワークはそれほど俊敏ではなく、振られるとカウンターショットを多く打つ

戦  術:

①相手に踏み込んでフォアハンドを打たせないように、深いボールを配球する

②ハードヒットに対しては、「凌ぐ」ではなく、カウンターでより強いボールを返球する

③フォアハンドに回り込んでストレートを多く打っていく

④相手のボールが浅くなったら、バックハンドにアプローチをしてネットに出る

リターンから攻撃を仕掛けていく意識を持つ

戦  況:

上記の通り、全体的な戦術プランとしては、「相手の攻撃を受けて立つ」のではなく、「こちらから積極的に攻撃を仕掛ける」ということでした。

打たれたらカウンターでより強い球を、打てる場面では、先に振って走らせていくことを常に考えていました。

相手のサービスから始まったファーストゲームのファーストポイントから、強いリターンを返球し、そこから自分の思い通りのラリー戦が展開できました。

長いラリーの末ポイントは落としましたが、第1ゲームのファーストポイントからここまでラケットがしっかり振れることもあまりなく、またメンタル的にも、非常いい状態で試合には入れていたので、今日はかなりいいテニスができると、この時点で確信しました。

案の定、デュースになりましたが、最初の相手のサービスをブレークすると、第2ゲームの自身のサービスゲームは簡単にキープし、第3ゲームも簡単に相手サーブをブレークし、3-0となりました。

第4ゲーム目からも、打たれてもカウンターで逆襲し、甘くなればフォアハンドに回り込んで、攻撃を仕掛け、相手に全くテニスをさせず、その後も簡単に3ゲームを取って、第1セットは30分足らずで6-0で先取しました。

第2セットに入ってからもペースを落とすことなく、2ブレークを含み、3ゲームを連取し、3-0としましたが、第4ゲームの私のサービスゲームで、ダブルフォルトなどの私のミスも重なり、ブレークバックされ、3-1となりました。

このブレークが、高橋選手の気持ちをカムバックさせ、第5ゲームはこの試合で一番長いゲームになりました。試合の流れが変わると、これまでうまく嵌っていたカウンターショットにミスが出たり、相手がよりアグレッシブになったりで、これまでのゲーム展開が嘘のように、緊迫した内容になりました。

何回もゲームポイントやブレークポイントが繰り返され、どちらかと言えば、苦しいラリー戦が展開されましたが、最後の球際のところで、踏ん張って再びブレークバックし、4-1となりました。

もし、このゲームをキープされていたら、3-2となり、1ゲームはリードしているものの、次の私のサービスゲームにプレッシャーがかかり、メンタル的にはかなり苦しい状況になっていたと思います。

ただ、この試合で最大の山場だった第5ゲームをブレークできたことで、相手選手の気持ちが折れたことも見た目からもはっきり分かり、ほぼ勝敗は決しました。後の2ゲームは、一方的な展開で簡単に取って、6-1で勝利しました。

気 づ き

①相手の強いフォアハンドに対して、得意のカウンターショットがうまく嵌った

②攻撃的なメンタルを維持することで、ラケットがいつも以上によく振れた

③途中で苦しい場面もあったが、乗り切れたことで再度流れを引き寄せられた

今大会で5試合行いましたが、自分の思い通りのテニスができたという観点で見れば、この試合がベストマッチだった言えます。

過去の対戦からの反省や自分が今大会に向けて取り組んできたことをほぼ100%いい形で出し切ることができたこと、また体力的な部分においても、大きく消耗することなく、準決勝に進めたことは本当に大きかったと思います。

準 決 勝 6-0 6-2 細川 敬介 (ブライトテニスセンター)

プレースタイル(事前情報含む):

・昨年一昨年の全日本ベテランのファイナリスト

・オールラウンドのストークプレーヤー

・回り込みのフォアハンドをベースに攻撃を展開してくる

・横の動きは、俊敏だが縦の動きはそれほど早くない

戦  術:

①準々決勝のような攻撃的なテニスを継続していく

②フォアハンドに回り込んでくるので、バックハンドのダウンザラインをうまく使っていく

③ストロークのミスは少ない選手なので、我慢するところは粘り強くラリーする

④フットワークやスタミナの部分では勝っているので、いざとなれば体力勝負に持ち込む

ドロップショットをうまく使って縦に動かす

戦  況:

今年の1月にITFの1回戦で対戦経験があり、その時は6-2,6-0で勝っていましたので、それほどネガティブなイメージはありませんでした。

ただ、2年連続で全日本ベテランの決勝に進んでおり、過去には優勝もしている経験豊富な選手で、全く油断できない相手でした。昨日のいいイメージを持ちつつ、ストローク戦でしっかりポイントを重ねていこうと考えてコートに入りました。

私のサービスゲームから始まった第1ゲームは、昨日よりも少し緊張感のある立ち上がりでした。相手のミスもあり、簡単に40-0になりましたが、そこから2ポイントを取られ、40-30になりました。

3本目のゲームポイントでは、非常に長いラリーになり、最後は相手の鋭角なボレーに対して、私のストレートのランニングパスがうまく決まって1-0となりました。

この1ゲーム目の展開が、相手選手の攻撃、私の守備という構図をつくってしまい、自分の中では難しい内容のゲームになってしまいました。

というのも結果的には第1セットにおいてはこの後のゲームを全て取って6-0で先取しましたが、同じ6-0というスコアでも昨日とは違い、何か自分のリズムでゲームを進めていない感覚がありました。

その理由としては、自分から攻撃を仕掛けて、いいリズムで6-0とした昨日とは違い、相手の攻撃を凌ぎミスをさせての6-0で、受ける印象が全く違ったからだったと思います。それは第1セットでのネットポイントがほとんどなかったということにも表れていました。

第2セットに入ってもこのままのペースでゲームを進めるか、ペースアップしていくか自分の中でも迷いがありましたが、「勝っている時はリズムを変えない」という原則に従って、そのままのペースで第2セットも進めていくことにしました。

第1ゲームの自身のサービスゲームはキープしましたが、第2ゲームの相手のサービスゲームでキープされ、この試合で始めてゲームを失うと少し混沌とした流れになってきている気配を感じました。

それでも第3ゲームをキープし、再びリードを奪い、そして第4ゲームをブレークし3-1となって、突き放せるチャンスがあったのですが、第5ゲームの自身のサービスゲームを長いデュースの末、ブレークされ3-2となってしまいました。

ゲームはリードしていますが、サービスキープの観点から言うとイーブンに追いつかれてしまいましたし、このままのペースでいくと、より苦しい展開になりかねないと考え、ペースアップしていくことにしました。

このように、攻撃的な姿勢に意識を変化できたことで、ある意味「開き直ったプレー」が展開でき、第6ゲームの相手のサービスゲームでは、リターンからいい攻撃ができ、ブレークに成功し、4-2となりました。

第7ゲームの自身のサービスゲームでは、より攻撃的なプレーでプレッシャーをかけていくため、これまでステイバックしていたボールでも、どんどんネットにつくようにしていきました。

この早いテンポのプレーに相手選手がついてこられずに簡単にキープすると、第8ゲームもブレークし、6-2で第2セットも取って勝利しました。

気 づ き

①100点満点の内容ではなかったが、終始我慢強くプレーができ、最後はペースを上げられた

②ドロップショットやロブを有効に使って相手を前後に揺さぶれた

③相手のボールの質もあったが、QFほどカウンターショットがうまく嵌らなかった

④ネットプレーまでの道筋をもったストロークを展開しないと後方での打ち合いに終始してしまう

⑤明日の決勝に向けては、戦術面の見直しも含め、プレーのレベルを上げていかないといけない

快勝した準々決勝とは違って、反省点の多い試合内容となってしまいましたが、主に守備面で自分の持ち味が出せたこと、決勝に向けてある程度体力を温存できたこと、もう片方の準決勝を見ながら対策ができることなど、いいコンディションで決勝戦を迎えられることは、ポジティブなことでした。

もう片方の準決勝は全日本ベテラン2連覇中の弓田選手と今年から45歳に上がった元全日本チャンプの山岸選手がファイナルセットのものすごい試合をしていました。

山岸選手は「ベテランテニス界のハルク」と呼ばれ、強力なサービスとベースライン後方からでもエースが取れるストロークを持っており、攻撃力では同年代のベテランテニス界ではトップレベルの選手です。

一方の弓田選手は、どんな攻撃も無効化する、安定したストロークとフットワークを持っており、その圧倒的なディフェンス力で、全日本ベテランを2連覇している同年代最強の選手です。

山岸選手の破壊的な攻撃を弓田選手が鉄壁の守備で凌ぐという最強の「矛」と「盾」が交えた3時間越えのスリリングなゲームでしたが、最後は弓田選手の「盾」に軍配が上がり、決勝戦の相手が弓田選手に決まりました。

私にとっては3度目の挑戦で初の頂点を目指す試合に、そして弓田選手にとっては、近年ではあまりない全日本ベテラン3連覇を目指す試合となり、お互いにとって「絶対負けられない闘い」になりました。

次回は決勝戦のレビューをお伝えします。最後までご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

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